改正不動産登記法の実務について

権利証紛失の場合の取扱いについて

1. 事前通知制度

保証書制度に比べると、より厳格な本人確認が要求されているために、かえって取引を円滑に進めるという観点からはふさわしくないといえます。
例えば、本人限定受取郵便については、住所地に配達されず、郵便到達の通知だけが配送され、その通知書と身分証明書を持参して郵便局に出頭して職員により本人確認された後、その場で手渡しされるというもので、手間がかかります。

また、当初の申請時点で受付順位が確保されるということは、売主に抹消すべき抵当権がついている場合や買主が融資を利用する場合、売主が申請に間違いがない旨を申し出る前に、金融機関に抹消書類の受け渡しや、融資の実行を要請することになり、現実的ではありません。


2. 資格者代理人による本人確認制度

司法書士による本人確認制度を利用すれば、円滑に取引を進めることができます。
売主が、権利証を紛失している場合には、司法書士が本人を確認する手段として、次の書類が必要になります。

あらかじめ、お客様に用意できるか確認してください。

本人確認資料(◎は1種類、◎がない場合は○2種類または○1種類と●1種類)
運転免許証、外国人登録証明書、住民基本台帳カード、パスポート等の写真付きの官公署発行の証明書
国民健康保険証、健康保険証、国民年金・厚生年金手帳、恩給証書等写真なしの官公署発行の証明書
学生証、会社の身分証明書等で写真つきのもの

官公署発行で顔写真付きのものには、高度な本人確認性があるとされています。
運転免許証やパスポートを所持していないお客様には、住所があれば誰でも登録できる住民基本台帳カード(住基カード)の交付申請をすすめるといいでしょう。

住基カードには、顔写真付きのものと顔写真無しのものがあります。
必ず、顔写真付きのものを用意していただきます。
この機会に取得しておけば、運転免許証と同様に公的な身分証明書として利用できます。 (銀行口座等の新規開設、パスポートの新規発給、クレジットカードの契約等)


3. 売主が法人である場合の本人確認

法人の本人確認は原則として、その代表者に直接面談することによって行います。
しかし、大企業等の代表者に直接本人確認をすることは困難な場合があります。
そのような場合には、代表者から権限を授与された支店や営業所の支店長等に本人確認をすることになります。
その権限授与の証明として、業務権限証明書を受領し、そこに押印してある代表印と印鑑証明書を照合することによって、権限授与の真正を確認します。
この業務権限証明書は、個別不動産の売却のために作成されたものについては原本還付できませんが、土地分譲やマンション販売など複数個の不動産を売却する場合は、別紙に該当物件の一覧表を付けることによって原本還付ができます。


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