会社関連業務( 司法書士業務 )

会社法施行後の有限会社について

○ ~「特例有限会社」として存続?それとも「株式会社」に移行?~

1. 旧有限会社の存続

5月1日の会社法施行に伴い、従来の有限会社は、特段の手続を経ることなく、会社法の規定による株式会社として存続するとされました。 そして、その商号中に有限会社という文字を用いるものについては「特例有限会社」とされ、株式会社に関する会社法の規定の適用を受けますが、以下の特則が定められ、これらについては、改正前の有限会社と同様の取扱を受けることが可能とされました。


(1) 商号

特例有限会社は、その商号中に有限会社という文字を用いなければなりません。


(2) 商号

特例有限会社の定款には、その発行する全部の株式の内容として次の定めがあるものとみなし、これと異なる内容の定めを設ける定款の変更をすることはできません。


ア、 株式を譲渡により取得することについて特例有限会社の承認を要する旨

イ、 特例有限会社の株主が株式を譲渡により取得する場合には、当該有限会社が承認したものとみなす旨


(3) 機関

1人以上の取締役が必要です。定款の定めにより監査役を置くこともできます。
任期はありません。


(4) 計算書類の公告

貸借対照表の公告は不要です。・・・等


2. 特例有限会社へ移行する際の定款変更、登記の要否

旧有限会社は、会社法施行に伴い、当然に会社法上の株式会社(特例有限会社)に移行します。
この際には、原則として、定款変更や登記は不要です。
ただし、会社法施行前に、定款に社員の議決権や、利益の配当、残余財産の分配について内容の異なる定めがある場合は、種類株式とみなされるため、会社法施行の日から6ヶ月以内に、株式の種類、内容及び種類ごとの数を登記しなければなりません。


3. 商号変更による通常の株式会社への移行

特例有限会社は、定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることにより、通常の株式会社に移行することができます。
最低資本金制度は廃止されましたので、1000万円以上に増資する必要はありません。
また、機関も取締役が1人以上いれば足ります。
この場合、上記の特例有限会社についての特則は適用されず、役員の任期制限や計算書類の公告義務などが課せられることになります。
商号変更による通常の株式会社への移行の効力は、株主総会で商号変更の決議をした日から2週間以内に登記をした日に発生します。


商号変更による通常の株式会社への移行手続チェックシート

商号変更による通常の株式会社への移行手続チェックシート(PDF)


手続の流れ及び必要書類

【変更事項なしの場合】

流れ 必要書類
株主総会 (商号変更の定款変更決議)

定款変更決議より2週間以内に特例有限会社解散登記及び通常の株式会社への移行による設立登記
株主総会議事録

(代表) 取締役の印鑑証明書 1通
委任状
新実印
印鑑カード
役員の認印

【増資する場合】

流れ 必要書類
株主総会  

商号変更の定款変更決議
募集株式発行決議

募集株式の申込み
募集株式の割当て
払込

定款変更決議をした日から2週間以内に特例有限会社解散登記及び通常の株式会社への移行による設立登記

払込期日から2週間以内に募集株式発行による変更登記
株主総会議事録
株式の申込みを証する書面
払込があったことを証する書面

払込取扱金融機関の通帳の写し等

(代表) 取締役の印鑑証明書 1通
委任状
新実印
印鑑カード
役員の認印

費用

【変更事項なしの場合】

種別 報酬額 登録免許税又は印紙税
株式会社への移行による設立 26,520円 30,000円
株式会社への移行による解散 17,660円 30,000円
株式会社定款作成 15,000円 -
履歴事項全部証明書(1通) 1,000円 1,000円
印鑑証明書(1通) 1,000円 500円
小     計  ① 61,180円 ② 61,500円
通信費・郵券・交通費等 ③   3,800円 -
合計  ①+②+③ ④ 126,480円 -
消費税  ①×10/100 ⑤  6,118円 -
合計見積額  ④+⑤ 132,598円 -

【増資する場合】

登録免許税 9万円+増資額×7/1000

内訳
有限会社解散登記 3万円
株式会社設立登記 3万円
発行可能株式総数変更登記 3万円
増資登記 増資額×7/1000 (3万円未満の場合は3万円)


当事務所報酬

登記内容確定後、当事務所報酬規定によりお見積りいたします。


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